【謎サークル】京都大学 『雪だるまプロ』

アバター

髪の毛が切れない!

 

あやねーる

「あと、面白い話が一つありまして…。髪の毛が切れないっていうことが起きたりするんですね。キャストも会員がやるのですが、時系列があまり進まない設定の作品だと、髪の毛の色や長さが突然変わってはいけないので、髪の毛をバッサリ切ったり、染めたりできないんです。なので、撮影が長期になると、監督が“ごめんね”って言いながら、キャストは髪の毛なども調整します。」

 

―――長い間撮影する作品だと我慢が続くんですね…!

遅刻が運命を変えた!?衝撃の入部理由!

 

ーーーお二人はなぜ雪だるまプロに入られたのですか?

 

あやねーる

「私は、会員の中では元から映画を撮りたいっていう意識が強かった方だと思います。高校時代は文芸部に所属していて、小説をずっと書いていたのですが、小説の中だけじゃなくて、映像にしてみたいなっていう想いが強かったんです。“大学生になったら映画が作れる!”って思って、映画制作サークルを探しました。楽器もやっていたのでオケ(オーケストラ)なども考えたのですが、たまたま(雪だるまプロの)新歓に行ったらすごい面白い人が多くて、雰囲気がいいなと思ったので、あまり他も見ずに決めました。」

 

―――小説を映像化したいという気持ちから入ったのですね…!さくさんはどうして入られたのですか?

 

さくさん

「私は高校の時から映画が好きで、週に1,2本見ていたのですが、最初は全然映画を作ろうと思っていたわけではなかったんです。雪だるまプロに出会った日もアーチェリー部かライフル射撃部の新歓に行こうとしていて…。」

 

―――アーチェリー部かライフル射撃部!?

 

さくさん

「そうなんです。そしたら、ちょっと遅刻して置いて行かれてしまって…(笑)。手持無沙汰でどうしようかなあと思っていたら、どこかで映画を上映しているらしい、タダでご飯が食べられるらしい、何か楽しそう、みたいなサークルがあったので、ついていったら、すごく作品も面白いし、雰囲気もすごく良かったので、“あ、すごく居心地がいい!”と思ってその日に入部を決めました。」

 

―――そうなんですね!アーチェリーやライフル射撃にも興味があったのですか?

 

さくさん

「かっこよさそうだからやってみたい、という軽い気持ちだったんですけど、そしたらたまたま雪だるまプロに出会ってしまったっていう…。ちょっと変な巡り合わせでした。」

 

―――遅刻していなかったら人生が変わっていたかもしれないですね…!

 

さくさん

「そうかもしれないですね。今頃射撃してたかもしれないです(笑)。」

 

―――“雪だるまプロ”には、映画が好きで入部された方が多いのですか?

 

あやねーる

「みんなが最初から映画に詳しかったというわけではないんです。むしろ、映画がすごく好きで入った人は全体の3割ぐらいで、あとは雰囲気が好きで入ってくれている人の方が多いかなと思いますが…さくらちゃんどうでしょう?」

 

さくさん

「そうだと思います。でも、最初そんなに映画見るわけじゃないと言って入った人も、撮影に参加しているうちに、例えば照明に凝りだしたり、カメラを自分で購入したり、だんだん映像を作る楽しさに目覚めていくことも多々ありますね。」

 

―――入ってから映画制作に目覚める方も多いのですね!

 

さくさん

「みんなで、部室に集まって映画を見たりもするので、その中で好きな映画を見つけたり、情報交換し合って新しい作品と出会う、というのも結構あると思います。」

 

―――素敵ですね…!!

映画制作の役職は?CGで他大と交流!?

 

―――映画を作る際の役職にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

あやねーる

「サークル全体で撮る公式映画が基本の形なのでそれに沿うと、監督、カメラ、照明、音声、キャスト、美術、音楽、スケジュールの管理などをおこなう制作、メイキングを回す役職があります。あと、時々監督の代わりに演技指導をする演出の役職が加わることもあります。」

 

―――たくさん役割がありますね…!撮影する上での役職は決まっているのですか?

 

さくさん

「役職はそんなに決まっていないですね。特に1回生で入部した直後は、“この日あいてる?じゃあちょっとこれやって~!”みたいな感じで色んな役職に当てられたり、自分で立候補したりする機会もあるので、役が固定される、という考え方ではないです。やっているうちに、照明のプロフェッショナルになっていく人やカメラがすごくうまくなっていく人などはもちろんいるのですが、基本的には撮影の度ごとに色んな役職をやることが多いと思います。」

 

―――いろいろ経験をする中で、得意分野を見つける感じなのですね…!

 

 

―――作品を見させていただいて、エンドロールにCG担当というのをお見かけしたのですが…?

 

あやねーる

「CGは、(作成を)やってくれる人がいるときはできるし、いないとやらない…という感じです(笑)。CG担当としての固定の役職は無いのですが、60人もいるとパソコンに凝りだす人も結構いて…。CGを扱えるスペックのパソコン自体はサークルにあるので、そういう人がCGを独学で勉強して、合成、CG、アニメーションなどを作ってくれています。去年だと、後から合成して綺麗な星空を表現したりしました。星空ってビデオカメラの映像では撮れないので…。」

 

―――CGや合成が使えると表現の幅が広がりますね…!

 

あやねーる

「あと、美大や造形大の方とつながりをもっている方がいると、そういった専門の方に依頼していることもあります。昔、エヴァンゲリオンのパロデイのような作品を作った時は、口から火を噴く演出なんかは外部の方に依頼してやってもらいました。」

 

―――口から火を噴く演出…!色々コミュニティを生かして作っておられるのですね。

血みどろでトイレ!?『ブラック撮』

 

―――映画を作る時のポイントはありますか?

 

あやねーる

「えっと…。ピンとこないかもしれないですが、撮影の現場づくりが一番大事だと私は思います。撮影していると結構やっぱり疲れてくるんですよ。短いシーンを何回も何回もテイクを重ねて本当に時間をかけて撮るので、キャストだけじゃなくてスタッフも疲労が蓄積します。例えば照明だと、本当に腕をプルプルさせながらライトを持ち続けたり…。そういう辛さが蓄積していくと、あまり進まなくなったり雑になったりするので、特に監督をやる時は、周りのスタッフやキャストの雰囲気を見ながら、疲れてそうだったらちょっと水を差しいれるとか、そういう現場の雰囲気作りが実践としては一番重要だと思っています。」

 

―――そういった気遣いがサークル全体の雰囲気の良さにも繋がっているのでしょうか。

 

あやねーる

「そうですね。本当にブラックな撮影もあって…(笑)。“ブラック撮”ってみんな呼ぶんですけれど、本当にしんどくなるとサークル自体の雰囲気も落ち込んでしまいます。時にはみんな限界を迎えてハイになっていい思い出になることもありますが、基本的には一つの撮影隊が疲れていると全体的にも疲れた雰囲気になってしまうので、みんな元気にいる、というのはサークル全体の雰囲気にも繋がっていると思います。」

 

―――いい繋がりですね…!印象に残っている“ブラック撮”はありますか?

 

さくさん

夜中の2時までかかった撮影がありますね…。23時~24時頃には終わる予定で人を集めたのですが、長引いて、深夜の2時ぐらいまでずっと撮影をしていました(笑)。」

 

―――2時…!一周回ってハイになりそうです…!(笑) あやねーるさんはいかがでしょうか?

 

あやねーる

「私はキャストをしていた時に、銃で撃たれる役をやったことがすごく印象に残っています…。11月の朝、すごく寒い時期に、高校のブラウスで腕をまくって、血糊を胸元にべったりつけて撮影しました。まずその時点で寒くて大変だったのですが、後半ずっと死んでるんですよ(笑)。なので、カメラに映るシーンはずっと死んでいないといけないので、砂利の上に短いスカートとシャツだけの状態で3~4時間ずっと倒れていました。時々起き上がるのですが、一回起き上がってしまうと次のカットを撮り始めるまでにまた同じ向きを再現しないといけないので、髪の毛の位置とかもみんなに確認されました(笑)。あと、血みどろの状態で大学のトイレを利用するのがすごく恥ずかしかったです(笑)。結構ハード撮影でしたね…。」

 

―――すごい…!本当にブラックですね…(笑)。

 

あやねーる

「映画の撮影には結構辛抱が大事ですね(笑)ヘンテコ撮影もあります。お墓で180cmぐらいあるマネキンを使って撮影したことがあって。撮影許可はもらっていたのですが、参拝客の人に怪しい目で見られて恥ずかしかったです(笑)。」

 

―――参拝客の方々、不思議だったでしょうね…!(笑) 撮影を通して、沢山思い出ができて素晴らしいです!

 

↑あやねーるさんが、血みどろで3~4時間倒れていたという作品「セイゾン」

 

―――さくさんは、映画を作る時のポイントはどこにあると考えていますか?

 

さくさん

ノイズを映さないことだと思います。例えばカメラのバッグとか、照明を持っているスタッフとかが画面の中に映ってしまうことがあって、それをノイズと言います。ノイズが映り込むのを避けるために、カメラを撮り始める前にしっかりチェックするんです。“そこ音声映ってるからどいてー!”とか、“カメラバッグ映ってるからどかしてー!”と言ったり、水や鏡が映っている時は特に、スタッフやカメラの三脚なども映り込まないように注意したりしています。」

 

―――こだわって作っているのですね…!

 

さくさん

「こだわりというか、ノイズチェックで指摘されるんです(笑)。周りのサークルの人たちはノイズを見つけることに集中力を持っているというか、あらを探そうとしてくるので(笑)、そこから逃れようと必死にノイズをなくそうとします。」

 

あやねーる

「雪だるまプロが他の大学の映画制作サークルと違うかなと思う点が、ノイズチェックを本当にしっかりやっているところです。会長や副会長のような感じで、不動のノイズチェック班が3人ぐらいいるんです。上映会の前にその人たちに映画を見てもらうのですが、本当に小さな映り込みも指摘されます。そこで指摘されると何回も何回も改善して出して、OKが出るまでやり続けないといけない、という決まりがあるんです。雪だるまプロとしてみんなが誇りをもってできるよう、一定以上の質のものを上映する、という想いを持ってやっています。ノイズチェックだけではなく、会員だけの試写会で、最終段階としてみんなで見て全体で流しても良いかどうか確認するなど、いわゆる品質確保をすごく徹底してやっています。」

 

―――それだけ厳しいチェックが入ると公開できたら嬉しいですね…!

 

あやねーる

「はい! “ノイチェ通った~!!” ってみんな喜びます(笑)!」

 

 

特にノイズチェックが大変だったという作品を、2つご紹介していただきました⇩

制作された皆さんの努力と苦労に思いを馳せながらご覧ください!

 

↑①「ドーナッツ」

 

↑②「逢わせもん、離れもん」

 

映画を公開するまでには、本当に様々な苦労があることが伝わってきました!さて、作る側になると、どんな風に映画の見方が変わるのでしょうか。お二人のおすすめ映画も聞いてみました!

 

次ページ⇒そんなところ見てるの!?制作者の視点の変化とは?

固定ページ: 1 2 3

802ワナビーズにやってほしい企画募集中!

  • こんなことやってほしい
  • 私たちとこんなことやりませんか?

などなど、募集しています!

企画に関するお問い合わせはこちらから