【ワナラボ卒論】なぜ、今、私たちはラジオを聴くのか。~6年分の感謝を込めて~

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みなさんこんにちは。イトーです。

学生として6年間在籍したワナビーズも、今年でいよいよ卒業。ということで、卒業記念(?)として、今の私のラジオ観について書こうと思います。

独断と偏見だらけの記事になりますが、お付き合いいただけますと幸いです。

ラジオに生かされた6年間――サブスク時代のラジオの意義

さて、時は大サブスク時代。

テレビすらも観ない人が増え、音楽との出会いの多くはインターネットで生み出されるようになってきました。

ここでいきなり本題ですが、

今、なぜ私たちは、あえてラジオを聴くのでしょうか?

今、ラジオにはどんな価値があるのでしょうか?

私は小学生の頃にラジオに出会って以来、ずっとラジオが好きで、ラジオ好きを公言して生きてきました。そして、大学生になってからはFM802の学生サポーター「802wannabes(通称ワナビーズ)」として6年間活動し、ラジオを作る側の人たちを間近で見てきました。

リスナーとして、そして少しだけ “中の人”としてラジオに関わったこの6年間、ラジオや音楽にまつわる様々なことについて、たぶん普通の大学生に比べると、よく考えてきた、と思います。(もちろん、もっと深く、切実に考えている人が世の中にごまんといるのは承知しています。)

この記事では、私にとってのラジオ、そしてラジオの持つ力について、書いてみたいと思います。

ラジオはいつでも居場所だった

家に帰ってラジオをつけると、いつもの明るい声が響いてくる。

DJさんやパーソナリティの方が、いつもと変わらないテンションで話している。

そして、「今、この瞬間」に、同じ声を、同じ番組を、各々の場所で聴いている人たちがいる。

私にとってラジオは、学校とも習い事とも違う、自分だけの、でも、どこかの誰かと繋がっていられる、唯一無二の居場所でした。ちょっとした隠れ家のような感じでしょうか。

元気が出ないときには好きな曲をリクエストして流してもらったり、人に相談しづらい悩みがあればメッセージを送ってみたり。

悩んで悩んで頭がパンクしそうなときに、自分とは違う視点を持ったDJさんの言葉に心が軽くなることもありました。

 

何かをしながらボーっと聴くだけでも良いし、気が向いたらメッセージを送っても良い。

雨の日も、晴れの日も、元気な日も、ちょっとムスっとした日も、ちょっと孤独な日も、何となくウキウキする日も。

どこかと、誰かと、繋がっている実感を持てる。

ラジオの向こう側には、必ず “人” がいて、リスナーの声をちゃんと拾ってくれる。

テレビともSNSともまた違う、ラジオ独特の温もりが常にある。

私にとってラジオは、そんな存在でした。

 

余談ですが、小学生の頃に初めて日曜午後「OSAKAN HOT 100」の予想屋サンデーに応募してドコモダケのグッズが家に届いたとき、「本当に当たるんだ!」と歓喜し、母親にプレゼントしたのも今となってはいい思い出です(笑)。

ラジオだからこその音楽との出会い

リスナーの方には「当たり前だよ!」と言われそうですが、FM802は、驚くほど音楽のキャッチが早いです。

例えばテレビのメジャーな音楽番組にはまだ出てこないアーティストや楽曲が、フルコーラスで何度も何度も流れる。

気づけば一曲丸ごと覚えてしまっていた、なんて人も多いと思います。(私も毎日ラジオを聴いていた時期は、毎週ヒットチャート上位10曲ぐらいはほぼ丸暗記していました(笑)。)

毎月のヘビーローテーションナンバーの存在も象徴的ですよね。

 

ラジオではよく流れていた ”知る人ぞ知る” 楽曲やアーティストが、どんどん有名になり、気づけば全国的に知られる存在になっていく。周りが騒ぎ始めてから「ずいぶん有名になったなぁ」なんて、なぜかちょっと誇らしく感じちゃったりしたことがあるのは、私だけではないはずです。

 

今や主流のサブスクは、過去の再生履歴をもとに、最適化された ”オススメの曲” を提示してくれます。

一方で、ラジオの選曲は、ディレクターやDJさん、リスナーのリクエストによって決まる。

ものすごい頻度でライブに足を運び、音楽を知り尽くした人たちが、その場の流れや空気感を大切にしながら、自信を持って選んだ楽曲が、毎日オンエアされています。

自分の好きな音楽や、それに似た系統の音楽をAIが選んでくれるのも良いけれど、

ラジオでは、人を介するからこそ、温度感をもって、自分ではたどり着けなかった新しい音楽に出会うことができる。

 

そして、ただ曲が流れるのではなく、DJさんの言葉が添えられるのも、ラジオの大きな魅力です。

アーティストさんとDJさんの関係性によっては、普段は観られないアーティストさんの素の部分や、楽曲の制作秘話をキャッチできることもあります。

DJさんの言葉や、その曲に込められたアーティストさんの想い。

さらっと流し聴きしていたはずの曲が、一言の紹介で特別なものに変わってしまったり、偶然流れてきた曲に心を奪われたり。

この偶然性や温もりを含んだ音楽との出会いは、ラジオならではのものだと思います。

コロナ禍、それでも止まらなかった802と音楽業界

私が偉そうに言えたことではないですが、FM802のスタッフは、社員さんも、DJさんも、番組制作チームも、本気で音楽とラジオに向き合っています。

おそらく誰よりも全国のライブに足を運び、ラジオやイベントを通して何ができるかを考え、面白いことを仕掛ける姿勢を持ち続けています。

 

特に印象的だったのは、コロナ禍、エンタメが「不要不急」と言われた時期でした。

突然全てのイベントが中止になり、ライブやイベントは完全に厄介者扱い。何もかもが無くなって、全てが白紙になったあの時。

どれだけ風当りが強くても、802チーム、音楽業界の皆さんは、決して止まりませんでした。

 

ラジオのオンエアも続く中で、安全にライブを実施できるよう早急にガイドラインを作ったり、赤字覚悟でイベントを実施したり、オンラインでライブを楽しめる仕組みを生み出したり…。

立ち向かうものが大きすぎて、プレッシャーは計り知れません。悔しい想いも本当に沢山あったはずです。それでも、802や音楽業界の人達は、決して止まることはありませんでした。

 

全てのエンタメが中止になった後、久しぶりに開催されたライブ。

声を出せないながらも、観客の皆さんが泣きそうなくらい幸せを噛み締めていた姿が、今でも忘れられません。

心の底から音楽を楽しみ、生きる意味を見出して帰っていく姿。

「音楽業界にも、ラジオにも、まだまだできることがある。」

「ここで止まらないこの人達、すごくかっこいい!」

スタッフとして関わりながら、音楽とラジオの可能性を改めて感じた瞬間でした。

ワナビーズという立場ではありましたが、あの時期に、作り手の顔が分かる距離で、ラジオや音楽業界の最前線を見ることができた。

マニュアルもガイドラインも無く、誰も経験したことの無い状況の中で、世間の強い風当たりに立ち向かい続ける姿勢や、絶対に負けてたまるかという熱量、そして、そこから生み出されたお客さんの笑顔と感動を、間近で感じることができた。

あの経験が、私の価値観や考え方に大きな影響を与えたことは間違いありません。

ラジオの未来は、きっともっと明るい!

ラジオが好きだと伝えると、「昔よく聴いてたなぁ」とか、「ラジオって、もう聴いてる人あまりいないんじゃない?」と言われることがあります。「某有名深夜番組だけは聴くけど…」なんて人もちらほら。

確かに、ラジオ好きは目立たないかもしれません。(ラジオ好きの皆さん、ごめんなさい。)

でも、ひっそりとラジオを愛している人は、結構、います。

大体クラスに一人ぐらいの確率で、います。(※私の主観と偏見に基づく独自調査より。)

私自身、高校生まではラジオ好きにはほとんど出会いませんでしたが、ワナビーズになってから、「実は私もラジオ好きでよく聴いてるんだ~!」と話しかけられることが格段に増えました。

普段はあまり外に出さなくても、ラジオを心の拠り所にしている人は、確実にいる。そしてそれは、これからも変わらないし、むしろ今後もっと広まっていくのではないかと感じます。

 

ラジオには、インターネットやテレビでは代わることができない魅力がある。

ながら聴きができる気軽さ、生放送のライブ感、人を介して出会う音楽の温もり、パーソナリティの個性や、番組チームの一体感。

そして、メッセージを送れば、誰かとゆるく繋がることができる安心感。

 

SNSを通じて誰とでも即時に繋がることができ、聴きたい音楽はスマホ一つですぐにアクセスできる今の時代。

スピーディーで便利な世の中だからこそ、ラジオが持つ独特の”ゆるさ”、そして”温かさ”を必要とする人が、世の中にはたくさんいるのではないでしょうか。

ラジオとサブスクを相対するものとして捉える意見もありますが、ラジオにはラジオの良さがあり、サブスクにはサブスクの良さがある。

 

ラジオの温もりが消えない限り、ラジオの未来は明るいんじゃないかな。

 

6年間ワナビーズとしてFM802を見てきた私は、今も勝手にそう思っています。

6年間の締めくくりに

大学に入学してからの6年間、ワナビーズとして、大好きなラジオを作る人たちの近くで、本当に多くのことを学ばせてもらいました。

初めて見る世界ばかりで、一生懸命頑張りながらも、戸惑ったり、落ち込んだり。

心の底から嬉しいことも、ズドーンと悩んだことも。色んなことがあったなぁと思います。

 

それでも、「ラジオが好きだ」という気持ちは、最初から最後まで、一切揺らぎませんでした。

この人たちが作る、このラジオ局を、もっと盛り上げたい。少しでも力になりたい。

FM802は、寸分違わず、心からそう思えるラジオ局でした。

ワナビーズという立場で、少しでも一緒に働かせてもらえたことを誇りに思います。

 

最後になりましたが、メチャクチャで好き放題な私を、ずっと見守り支えてくださったFM802の社員の皆さん、番組制作チームの皆さん、FM802 DJの皆さん、ワナビーズの先輩、同期、後輩たち、その他イベントや種々の活動を通して関わってくださった全ての方へ。

寂しくないと言えば嘘になりますが、胸を張って卒業します!

本当に、本当にありがとうございました!

そして、全てのラジオ好きの皆さんへ。

これからもラジオを愛し続けましょう!

ラジオを通して、また皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

 

それでは、また逢う日まで!

 

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