ウクライナ国立バレエ 〜芸術監督寺田宜弘さんが語る戦禍のバレエ団と『ジゼル』〜

りょお

こんにちは!

15期のりょおです。

 

7/25(木)にイオンモール茨木にて行われた

ウクライナ国立バレエ 芸術監督 寺田宜弘 特別講演

芸術は戦争に負けない〜日本の義援金で制作した『ジゼル』~

を14期 はづと一緒に観覧させていただきました!

 

〜寺田宜弘さん(「ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)」芸術監督)の紹介〜

 

今回講演会に登壇されたのは、寺田宜弘(てらだのぶひろ)さん。

京都府でバレエ学校を開いていた両親のもとに生まれました。11歳で単身キーウに渡り、その後19歳にウクライナ国立バレエに入団されました。

キーウ国立バレエ学校は300人ほどが学ぶ8年制の学校ですが、そこからウクライナ国立バレエに入団できるのは数名ほど。さらに寺田さんが入団した時代は、ウクライナ国立バレエ団に日本人が入団することはかなり難しかったそうです。

その中で、実際に入団された寺田さんのバレエの実力が素晴らしいものであったと強く感じました。

 

その後、ソリストとしてバレエ界で活躍された寺田さんは、2012年に母校のキーウ国立バレエ学校の芸術監督に就任。2015年には、キーウグランプリ国際フェスティバルコンクールを創設されました。そして、2022年12月に日本人として初めてウクライナ国立バレエの芸術監督に就任されました。

 

 

〜戦禍中のバレエ団〜

 

2022年2月、ウクライナに悲劇が訪れました。ロシア軍によるウクライナへの侵攻です。

戦争が始まり戦禍を逃れるためウクライナ国立バレエのダンサーたちは、国外へバラバラになってしまいました。日本領事館から避難要請を受けた寺田さんも、ポルトガルに避難されました。

しかし寺田さんは、愛着のあるウクライナという国、そしてバレエ団のダンサーやバレエ学校の生徒のために、日本に逃れるのではなくドイツのミュンヘンを拠点にして、ヨーロッパ各地の劇場や学校に海外に避難したウクライナのダンサーたちの受け入れをしてもらうように尽力されました。

 

そして、寺田さんは、長年に渡り日本公演の招へいを行ってきた光藍社に「私たち団員を助けてほしい」と連絡しました。寺田さんの強い願いにより、日本の外務省にも協力を仰ぎ、ドイツのフランクフルトでビザを入手することができ、海外に避難したウクライナのダンサーたちは、来日して公演を行うことができました。

バラバラになっていたウクライナの文化が、遠いここ日本で繋がれたのです。

 

半年後、戦争で混乱するウクライナ国立バレエから芸術監督への就任を打診されて、寺田さんがウクライナに戻ると、ダンサーが激減するなど劇場とバレエ団の状況が一変していました。しかし、残ったダンサーはウクライナへの愛を持つ若いダンサーも多かったため、寺田さんは「若いダンサーが戻ってきたことは、希望である」と述べられていました。

しかし戦争によってウクライナの文化は危機に晒されていました。この状況を救ったのが日本のバレエファンでした。

 

ウクライナ国立バレエは、半世紀以上前から日本と親交があり、2007年からは年に2回、約400回に及ぶ日本公演を今までに行っています。戦争中であるからこそ、日本で公演を行って祖国の現状知ってほしいというバレエ団の希望と、公演を続けてほしいと思う日本の人々の願いが、来日公演へとつながっているとのことです。

今でもキーウでの練習はサイレンが鳴れば中止し地下室に避難する日々。しかし、それでも公演をし続ける理由があります。それは、彼らにとって舞台こそが、最前線であるからです。公演をし続けウクライナの文化をつなげていく。芸術の力で戦争と向き合う姿を見ることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~日本の義援金で制作された新しい『ジゼル』~

 

今回の特別講演では、寺田さんから、ウクライナの現状やウクライナ国立バレエの今後の展望、新たに制作された『ジゼル』に込めた想いなどをお話しいただいたあと、日本から送られた義援金で制作され、昨年行われた『ジゼル』日本公演の映像を編集したものを鑑賞しました。

 

ところで、みなさんは『ジゼル』の物語をご存じですか?

今回初めて聞いた方も多いかと思いますので、ここで大まかなストーリーをご紹介します。

 

「第1幕 」

舞台は中世のドイツ。村娘のジゼルは青年・アルブレヒトと恋をしています。

しかし、アルブレヒトは貴族の身分を隠して村人の姿でジゼルに会っている伯爵でした。

もう一人、ジゼルへの気持ちを諦められない幼馴染で森番のハンスが登場します。

ハンスはアルブレヒトとジゼルを引き離そうと介入します。アルブレヒトが村人なら持っていないはずの剣を持っていることを知ったハンスは、アルブレヒトが貴族であることを確信します。

 

ある時、アルブレヒトの婚約者・バチルドを連れた貴族の一行が村に立ち寄ります。ハンスはアルブレヒトの剣を持ち出し、身分を暴いてしまいます。身分を暴かれたアルブレヒトはバチルドの手にキスをします。体が弱かったジゼルは真実を知って、驚きのあまり狂乱して死んでしまいます。

 

 

「第2幕 」

第2幕の舞台はジゼルが眠る墓がある森です。この森には、結婚を前に亡くなった少女の精霊・ウィリたちが集まり、毎晩通りかかった若い男を死ぬまで踊らせると言われていました。

 

ある夜、自責の念からジゼルの墓にやってきたアルブレヒトもまた、ウィリが取り囲んで死ぬまで踊らせようとしますが、ジゼルの霊がやってきてウィリの女王ミルタに助けてほしいと懇願します。

 

この後、物語はクライマックスへと向かいます。

 

今回新たに制作された『ジゼル』では、この物語の結末に今までと異なる振付・演出がなされ、特別なメッセージが込められていました。

 

ロシアによるウクライナへの侵攻が開始され、戦争状態へと発展してしまったことにより、会いたい人に会えなかった人たちが沢山いました。寺田さんはそれを受け、たとえ戦争中であっても「新しい人生、素晴らしい時代」が待っているという希望を持ってほしいという願いを、ラストシーンの演出を変更によって伝えられればと考えたそうです。

 

また寺田さんは、日本公演の映像の中で、「空襲警報のサイレンが鳴ることもある中で、バレエ団が1つになることが出来たのは、日本の観客の皆様・義援金のおかげ。日本の観客との対話を通じて幸福を与えたり感謝を伝えたりしたい」と語られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~講演を振り返って~

 

ウクライナ国立バレエと日本が何年も前から親交があったことを初めて知りました。一度切れかけていたウクライナのバレエの文化を日本で繋げられていたことは、日本人として誇らしいと思います。

バレエは今まで興味を持つ機会がなかったのですが、今回の講演を聞いてウクライナ国立バレエの団員の人たちのバレエに込めた熱い思いを感じました。

来年の1月に行われる日本公演は、関西でも開催されるため、ぜひ見に行こうと思います。

15期 りょお

 

今回この講演会に行くまで、正直あまりウクライナ国立バレエのことを詳しく知らなかったし、こんなにも日本との関係が深いバレエ団だということも知りませんでした。

私はこの講演の中で、団員の方々の”覚悟”が印象に残りました。

寺田監督を含めバレエ団に所属するダンサーの方々が何度も「芸術家は戦場に行けないけれど、舞台で戦わなければならない」「私たちの最前線は舞台」とおっしゃっていて、これからの芸術を守っていくのだという強い気持ちや愛国心がとても心に残りました。

14期 はづ

 

 

〜2025年冬・日本公演が決定!~

 

ここまで読んで下さった方に『ジゼル』日本公演のお知らせです!

2025年冬、ウクライナ国立バレエの再来日が決定しました。

日時・会場は以下の通りです。

ここでは関西の公演をピックアップします!

 

ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ) 「ジゼル」

1月11日(土)15:00 ロームシアター京都 メインホール

1月12日(日)15:00 フェスティバルホール(大阪)

1月14日(火)18:30 和歌山県民文化会館 大ホール

※未就学児のご入場はお断りいたします。

光藍社チケットセンター050-3776-6184(平日12-16時)

 

公演の最新情報は、光藍社のホームページ、LINEほかSNSにて公開。

<こうらんしゃ 検索>

https://www.koransha.com/ballet/ukraine_ballet/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑日本公演に協賛しているCHINTAIの、マスコットキャラクター「チンタイガー」と一緒に写真を撮りました

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